ゆにっき

鍼灸院(とか)「ゆまにて」店主ゆにの日記。

植木とわたし

田中美穂植物店はうちの近所のお店で、少し年下の美穂さんがやっているお店。

花屋、ではなくて鉢物で、草も木もあって、「植物店」。
 
なんて説明したらいいんだろう…
なんか、いい感じの子たちが揃ってるんですよ。
インテリア雑誌に載るようなおしゃれさとはちょっと違う、でも姿もよくて元気があって、生きてるって感じの。
 
あまりに近くて私も通りかかっては何かが欲しくなって連れて帰ってきたりしてしまうし、通り道なのでうちにおみやげ、って言ってお客様が小さな何かを連れてきてくれたりもして、いつのまにかうちは美穂さんとこからきた子ばかりになってきました。
 
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ヤシの木みたいなシルエットのはハゼの木と言って漆の仲間だそうです。
来たとき頭にちょいちょいっと生えてるだけだったのに、4月の後半にぐいぐいと芽が、ほんとにちょっとこわいぐらい毎日増えていまの様子に。
秋になったら紅葉して落ちるそうです。
 
その後ろにもこ、もこ、っとあるのはツゲの木。
いま、小さな花がさいてとってもかわいいのです。

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つるす系は美穂さんとこにあって、欲しいなあ…でも買いすぎだし…
と思ってたら、おみやげに連れられてやってきました。
 
奥の大きなのはレモンの木。
2週間ほど前からいい香りの花がわーっと咲いて、すぐ落ちて、たぶんこれはレモンの実…??っていうような、小さな丸いものがついています。楽しみだ~。

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そんなわけでいつの間にか、私史上最高に植物の面倒をみています。
 
実は私は、植物を育てるのがあまり得意ではありませんでした。
小さなアパートに住んでいたということもあるけれど、主には自分の気持ちの余裕のなさで、たてこんできたり疲れたりして、気づいたら枯らしているということがよくありました。
 
そんな中、私の虐待とも思える世話のしなさ(ほんとごめん)にめげず、5年半にわたって一緒にいたのが、モンステラでした。
 
IKEAで何の気なしに買ったモンステラ
 
箕面で3年弱、横浜へ引っ越してまた3年弱。
ひどい時は10日くらい合宿に行くのに放置、というかその前から水もやらず…そういう時は自分にも栄養=ごはんやってなかったりして。
ただの背景と化していて、はたと我に返って見てみたら一生懸命気根を伸ばして、水をやったらすぐ新しい芽を出してきたりして。
 
たまにしか世話できないでもずっと一緒にいたという感じだったのに。
京都に引っ越してくる直前のお正月、帰省のときにうっかりベランダ日光浴のまま帰ってきてしまって、戻った時には枯れてしまっていました。
寒さだけには弱いんですね。
 
自分の世話のしなさと、気まぐれな世話でそんなことになって、申し訳なくて。
 
 
吉本ばななさんの「体は全部知っている」という短篇集のなかに、「みどりのゆび」という作品があります。

体は全部知っている (文春文庫)

 

その中に、「同じ種類の植物はつながっているから、どこかで仲良くしていたら、他の場所でもやさしくしてくれる」というようなことが書かれてありました。

作品の中ではアロエなのですが。

 

そのことが思い出されて、引っ越して落ち着いたらまたモンステラに来てもらおう、枯らしてしまった子の分も仲良くしよう、と思っていたのです。

 

それで美穂さんにお願いしてあったのが、今日届いて迎えに行ってきました。

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さすが美穂さんチョイス、姿のいい子です。

 

今の家は日当たりもいいし、土間や玄関の地べたもあるから、思い切り水をやって、大きく育ってもらおうと思います。

 

ここで暮らして2ヶ月と少し。

今までと違って、植物たちと仲良くできています。

毎朝様子を見て、水を遣って。そしたら毎日、違う姿を見せてどんどん大きくなります。

 

人のからだの様子をみる、という仕事をしていますが、それが中心になってやっと、植物のことも見られるし、自分のことも見られるようになったんだな。

反対に、自分のことをみられなかったのに、植物のようすや人の様子なんか、みる余力あるはずなかったんだな。

 

「みどりのゆび」の叔母にはかなわないだろうけど、これからも仲良くしていきたいです。